11月を迎えてしまいました。

久しぶりの更新になります。

長らくお待たせして、大変申し訳ありませんでした。


最近は、卒論に頭を悩ませる日々です。

お願いだから、集中してくれ、わたしの少ない脳みそ。


そんな中、日本大学芸術学部の卒業制作をみてまいりました。


日本大学芸術学部卒業制作 『 るつぼ 』

作:アーサー・ミラー 演出:西菜々重


大学四年の集大成として、この作品を選んだ意図は何だったのか。

内容は『魔女狩り』である。

アメリカのマサチューセッツ州で実際に起こった

「悪魔と契約した人間が村にいる」という告発から

広がっていった投獄事件をもとに書かれた作品だという。


その背景にはマッカーシズムへの批判が潜んでおり、

近年には9.11同時多発テロ後のアメリカ国内の動きを

批判して再演されたのだそうだ。(当日パンフレット参照)


ゴシップ ―― 興味本位の噂話。

「gossip」の語源の由来は「god(神)」と「sibb(親族)」である。


ゴシップには、神と親族が同居しているのだ。


絶対的な神へ向けた信仰が人々を貶めていく瞬間が

作品の中では幾度も訪れる。背景にあるものはもちろんのこと

集団意識の恐ろしさを存分に見せ付けられる戯曲内容である。


共に大学四年間を過ごしてきた仲間たちが

この芝居に立ち向かうということは、これから

確固たる個として立たなければならないという

そんな未来に向けての焦燥と絶望と希望が

滲み合い、混ざり合い、生まれてきていることを

指し示しているように見えた。


だからこそ、まだ、混乱している。

作品として完成しているかと問われれば決してそうではない。

創り上げていくのは、きっと、これから、なのだ。


狂気の沙汰にさらされる女性役者の叫び声が身体の内側を

ぐらぐらと揺らす。しかし、やや安定感が感じられない。

一定のパターンで叫び声が続くと、

みている方は生まれている恐怖に慣れてしまう。

女性の高い声質は、あの広い空間では返って響きにくいことを

意識して舞台に臨んでいるかどうか、が問題であって、

まだそこまでは意図が届いていない感じがした。

たった一言で「生きる」か「死ぬ」かが決まる瞬間を経験する人々の深遠を

見つめる目は、表現者を目指す私たちは、永久的に養っていかなければいけないのだと思う。