更新が大変遅くなってしまい、申し訳ありません。

卒業制作によって観劇すらままならない日々が続いていましたが

先日、やっと目処がつきました。誠に申し訳ございません。


タイトルを変えて新たに情報を発信していきたいと思います。

(もう、4月からは女子大生ではなくなってしまうからです・・・)


さて、公演から大分、日数が経ってしまったのですが・・・

PPPPの『不満足な旅』を取り上げたいと思います。

ザ・スズナリにて11月16日(水)から11月23日(水)までの公演。


舞台は、日本ではないどこかの国。

キレやすい男・鴨井(小林高鹿)と、鴨井の彼女に誘われ

合流することになった世界一周の旅の途中の山添(宮崎吐夢)、

鴨井の彼女の弟である宗宏(吉川純広)、出張中のビジネスマン

仲丸(玉置考匡)、元女神だと言い張る鈴木(ぼくもとさきこ)


この五人がとある宿の4階?の一室に集い、

互いを知る為の会話が交わされていきます。


キレやすい男・鴨井(小林高鹿)の彼女を「不在の人物」として

置いたことが台本の大事なポイントとなっていることは事実でしょう。

それも、まったく舞台に登場しないのではなくて、鴨井と喧嘩をしている

場面などが展開の1つに盛り込まれています。(もちろん、鴨井が一人で

彼女に向かって怒鳴っているという演出になっていましたが)


その影をにおわせることによって「彼女とは一体何者なのか」という興味を惹かせます。


鴨井と旅先で喧嘩別れしたという彼女についての話題から派生して

実は鴨井は宗宏と今までほとんど会話をしたことがないとか、鴨井と

彼女が喧嘩したのは、彼女が山添を誘ったことがきっかけだったとか、

様々な事実が浮かび上がってきます。


そうやって舞台上の人物が互いの関係性を知っていくのと同時に

私たちも、彼らの人物設定を知っていく、つまりは情報を舞台上の役柄と共に

拾い上げていくので、観客との呼吸が一体化しやすい舞台とも言えると思います。


さらに、窓の外でカーニバルが行われている、ということが分かるのですが、

私たちは、鴨井の彼女と同様、その様子を見ることが出来ません。そして、

この国がどこなのかも、はっきりとは分かりません。音響や人物達の会話の

中から、それを想像するしかないのです。これが、台詞を聞いても分からない

ようだったら、思考は停止してしまうのですが、所々にその状況をつかむヒント

や面白味が隠されていて、結局は最後まで集中して見てしまうのです。


仲丸が人を殺してしまったことを懺悔する場面や、

ラストに宗宏が息を引き取っていることを示す場面など

ところどころに「死」を臭わせる要素が入っていることも、その一つでしょう。

わかったような、わからないような、その面白さにとりつかれてしまうと、

きっと私のように公演台本を購入して読んでしまったりするのでしょう(笑)


山添役の宮崎吐夢は、さすがの存在感。

PPPPの役者さんの中では浮いていたという感想もあるようですが、

私は逆に、彼がいたことで作品の安定が保たれていたように思います。


あれだけ突き抜けている人がいたからこそ、PPPPのどちらかというと

安定した役者の力量がにじみ出ていた部分も大きいのではないでしょうか。